「スタッフのケア」

スタッフを「行かせっ放し」にしている会社には、居ない方がいいです。
おはようございます。転職博士です。


技術社員の中には、遠方に宿舎を借りて、単身赴任の状態で仕事に当たっている仲間が居ます。
その様な現場に限って、工程的、人的トラブルが多かったりします。
何かあれば駆けつけたりもしますが、このコロナ禍ではそれもままならない。
従って定期的に電話やSNSで連絡を取り合う様にしています。
しかしながら実際はそれすら不十分を感じる事が多々あります。

以前担当していたスタッフは、土木の業界でCADオペレーターをしていました。
彼は当時26歳、A君としましょう。ここで更に技術を身につけて貰おうと、住まいから遠く離れた地で、設計積算の修行をさせる事にしました。

配属先には、フリーランスで建設コンサルタントと直接契約を結んで赴任しているMという人物が。現場を仕切っていました。

A君は、Mによる、厳しい指導とはとても言えない、パワハラに近い扱いを受けてました。

着任初日、一週間後にそれぞれ電話していましたが、A君からは何もトラブル報告はありませんでした。

異変は彼からの電話でした。
「辞めたい」
「自信が無い」
聞くと、本人は土木の積算の仕事を気に入っており、彼なりに勉強しながら仕事を覚えて行く様でした。
Mは初日、私が引率から離れてから、
「また派遣屋が素人おいで行きよってからに」
と言ってのけたそうです。
その後も彼を「おい」呼ばわり、名前を呼び捨ての上で、昼休み前に課題を出して、実質昼休み無しで仕事をさせたり、休み、夜中に電話をし
「お前、寮近いんやからちょっと出て来いや」
と、Mの仕事を手伝わせたりしていました。
挙げ句
「仕事のセンス無い」
「使えんなりに使ってやってる」
と、彼なりのプライドすら踏みにじる発言をしていました。

私はそれまで気づいてあげられなかった事を、恥入りました。
「好きな仕事の修行なんて、こんな事は当たり前と思ってました」
と彼は言いました。
あるルートでMの事を聞きましたら、他の方にも威圧的な言動をし、怒って引き揚げた方もいる、後輩に自分の仕事をさせ、自分は釣りに行く、役所の担当者と仲が良く、文句を言わせない空気を作っている人物と判明しました。

その日の内にお客様へ連絡をし、今からMに直談判すると伝えました。
お客様は
「うちが辞めてと言っても、もう止められないですよね」
「はい。現場には他の皆さん脅かさない様に、私が行く旨お伝え下さい」

かくして、現場へ赴き
「Mは誰や!」
「うちのA痛めてからに!」
と言いながら現場のドアを開けました。
奥の方で何も聞かされていないMが一人立ち上がっていました。

ニッコリしながら静かに名刺を渡し
「○○(所属派遣会社)のMさんですね。Aがお世話になってます」
「あ、いえ、こちらこそ、、、」
「何分若い。経験も浅いんでえらいご迷惑お掛けしてるらしいですな」
「いえ、そんな事は、、、」
「本人やアチャコチャから聞いてます。何や苦情がある様でしたら、○○通してか直接僕に言うてください。」
「いや、特には、、、」
「何分ウチの大事な仲間なんで、痛めん様にだけしたって下さい。何や昨日も『この仕事向いてない』やとか、どないしました?」
「はい、いや、すみません」
「Mさんの仕事の手伝い日曜朝に聞いて、昼から釣りに行かれたとか、、、」
「いや、申し訳ないです」
「いや、いいんですけど、くれぐれも、よろしくお願いします。今日はそれ言いにだけけ来たんで。すみません」
ニコニコと、小さい声でお願いだけして、現場をそっと去りました。

帰り際、2人の方が降りてきて私を呼び止めました。
「私らが言えない事を言って戴いて、有り難うございます」

その後Mは大人しくなり、程なくして配置替えになり、A君は退職し、学校へ通いながら仕事を続け、今は建設コンサルタントの技術社員として活躍しています。

技術社員ですから100%現場対応になります。その一人一人に目を向けて、きめ細かいケアをしてくれる会社か否か、会社選びの重要な一つと言えます。

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