「終わりのない工事」立山砂防工事、なぜ終わりがない?
こんにちは!転職博士です。
6月といえば梅雨シーズンですね。
梅雨シーズンに心配されることといえば、土砂災害ではないでしょうか?
そんな土砂災害から人々を守るために進められているのが砂防事業。
中でも注目されているのが富山県の「立山砂防工事」です。
ただ、立山砂防工事は終わりがない工事ともいわれています。
今回の記事では、立山砂防工事に終わりがない理由について解説します。
立山砂防工事の概要
立山黒部アルペンルートなど、観光地としても有名な富山県の立山。
そんな立山には、立山カルデラと呼ばれる侵食カルデラがあります。
立山カルデラは標高差が500〜1700m、東西約6.5km、南北約4.5kmある巨大なくぼ地です。
その立山カルデラからの土砂流出を防ぐために進められているのが立山砂防工事です。
富山県は1906年(明治39年)に立山砂防工事を開始しましたが、たび重なる土砂の崩壊と大雨による土石流の被害が発生しました。
その後も土石流の被害が発生し、1926年(大正15年)から砂防工事の国営化が決定。
現在、工事開始から100年以上経過していますが工事は続けられています。
工事が終わらない理由
ここからは、立山砂防工事が終わらない理由について解説します。
工事が終わらない理由は次の3つです。
- 崩壊土砂が残っている
- 砂防施設の補修・補強が必要
- 災害が発生しやすい自然環境と地形
それぞれについて、みていきましょう!
崩壊土砂が残っている
1858年(安政5年)に発生した飛越地震により、立山町を流れる常願寺川流域の土砂が崩壊しました。
崩壊した土砂のうち、現在も約2億m3もの土砂がカルデラ内に残っているため、土砂整備を進める必要があります。
しかし、北陸地方整備局から公表されている「砂防事業の再評価説明資料(常願寺川水系直轄砂防事業)平成19年2月」によると、土砂整備の進捗率は約47%程度。
そのため、今後も重点的に整備を進めなければならないといえます。
北陸地方整備局|砂防事業の再評価説明資料(常願寺川水系直轄砂防事業)平成19年2月
砂防施設の補修・補強が必要
ダムなどの砂防施設は、強固な岩盤上に建設するものです。
しかし、立山カルデラの地盤は強固な岩盤ではないため、堆積した土砂上に建設しなければなりません。
そのため、土石流などが発生すると砂防施設も損傷してしまいます。
土砂災害が発生するたびに砂防施設の補修・補強が必要になってしまうことから、終わらない工事となってしまうのです。
災害が発生しやすい自然環境と地形
立山カルデラは斜面が急で、火山噴出物や崩壊堆積物で形成された脆い地質となっています。
立山カルデラ周辺の年間降水量は約3000mmと多雨地域で、特別豪雪地帯でもあります。
そのため、土砂災害が発生しやすい地形であることから、人々の安全な暮らしを守るためにも砂防施設の整備など砂防事業を行う必要があるのです。
まとめ
今回は、立山砂防工事が終わらない理由について解説しました。
近年、異常気象が問題となっていることからも日本各地で土砂災害が発生しています。
そんな土砂災害から人々を守るために進められているのが立山砂防工事。
100年以上続いている立山砂防工事は、安全な街づくりを実現するためには欠かせないものといえますね!