ヨーロッパと日本の建設について考え方の違い(安全について、品質について、環境対策について)

こんにちは!転職博士です。

世界各国で進化し続けている建設技術。

ただ、国によって文化が違うように、建設について考え方が違うのでは?

このように思う方もいるのではないでしょうか。

今回の記事では、ヨーロッパと日本の建設に関する考え方の違いを解説します。

「安全」「品質」「環境対策」それぞれについて詳しく見ていきましょう!

【安全】ヨーロッパと日本の建設に関する考え方

ヨーロッパと日本の建設の「安全」について違いを解説します。

日本では、厚生労働省で「建設業における安全対策」が掲載され、労働安全衛生法令が定められています。

2023年(令和5年)10月、足場からの墜落・転落災害を防止するために労働安全衛生規則が改正されました。

足場からの墜落防止対策が強化されたのです。

一方、ヨーロッパにおける建設現場の安全は、日本とは違います。

一般社団法人 日本建設機械施工協会の建設機械施工の安全対策 特集「欧州における建設現場の安全衛生管理の現状ー文化の違い・安全管理の違い」によると、ヨーロッパの安全管理は自主管理が当たり前と報告されています。

欧州では、保護帽をかぶるのも安全帯を使用するのも自己判断。

また、建設現場内には安全標語の掲示がないとの報告も。

ヨーロッパでは、すべて「自分で判断して行動すること」「責任はすべて自分」という考え方があるといえます。

【参考】

厚生労働省|建設業における安全対策

一般社団法人 日本建設機械施工協会|建設機械施工の安全対策 特集「欧州における建設現場の安全衛生管理の現状ー文化の違い・安全管理の違い」

【品質】ヨーロッパと日本の建設に関する考え方

ヨーロッパと日本の建設の「品質」について違いを解説します。

日本の建設工事における考え方は、各発注機関によって定められています。

たとえば、国土交通省発注の土木工事を例に見ていきましょう。

国土交通省発注の土木工事の場合は「品質管理基準及び規格値」をもとに、品質確保を図っています。

公共建築工事の場合は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)を踏まえて、品質確保を図っています。

一方、ヨーロッパの品質の考え方は、日本とは異なります。

ヨーロッパの中でも、フランスを例に見ていきましょう。

株式会社サトウファシリティーズコンサルタンツ「各国の建築コストと工事発注調達方式の現状」によると、建設工事で品質不良がある場合は設計者やコントラクタなどに対して責任を取らせるとのこと。

建設工事において、品質保証の考え方があるのです。

品質不良が起こった場合、フランスの発注者は原因の究明をしなければなりませんでした。

この原因の究明に嫌気が差したことで、品質に保険をかけるようになったといわれています。

【参考】

国土交通省|公共建築の品質確保のためにー品確法を踏まえた官庁営繕の取組ー国土交通省大臣官房官庁営繕部(平成29年6月)

株式会社サトウファシリティーズコンサルタンツ|各国の建築コストと工事発注調達方式の現状

【環境対策】ヨーロッパと日本の建設に関する考え方

ヨーロッパと日本の建設の「環境対策」について違いを解説します。

日本の建設工事では、環境への取り組みが行われています。

一般社団法人 日本建設業連合会「建設業の環境への取り組み」によると、低炭素社会を目指すためにCO2排出量を削減する対策を実施。

たとえば、省エネ性やハイブリッド性の建設機械を導入している建設現場もあります。

また、循環型社会のために加工品を現場に搬入するなど、建設廃棄物の削減にも取り組んでいます。

自然共生社会を実現させるために、生物多様性の保全にも取り組んでいるのです。

ヨーロッパの環境対策の考え方を見ていきましょう。

エネルギー効率の向上と2050年までに気候中立を目指すという目標を掲げているEU。

欧州委員会(EC)は、EUロードマップを策定しました。

さらに、建築物の全ライフサイクルにおけるCO2の排出について「建設資材規則」「建物のエネルギー性能指令に関する指令」の改正案でも取り上げているとのことです。

【参考】

一般社団法人 日本建設業連合会|建設業の環境への取り組み

まとめ

今回の記事では、ヨーロッパと日本の建設についての考え方の違いを解説しました。

「安全」「品質」「環境対策」それぞれを解説したので、建設の考え方の違いについて理解が深まったのではないでしょうか?

世界の建設市場は、今後も増加傾向にあるといわれています。

2023年度の日本の海外建設受注は1,850件、受注額は2兆2,907億円。

海外で建設プロジェクトを進める上でも、各国の建設に関する考え方を理解することは重要ですね。

日本の海外建設受注についての最新情報は、一般社団法人 海外建設協会「海外建設受注実績レポート」からチェックできます。

以下リンクから確認できるので、本記事とあわせてご覧ください!

【参考】

国立研究開発法人 国立環境研究所|環境展望台「欧州環境庁、循環型社会に向けた建築物の改修による温室効果ガス排出削減効果を報告」

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