高層ビルの設計!風の影響を最小限に抑えるための「風洞実験」とは?
こんにちは!転職博士です。
近年、都市部では次々と高層ビルが建設されています。
高層ビルは周辺環境に風の影響を与える可能性があるため、建築時にはビル風の影響を調べなければなりません。
今回の記事では、ビル風のリスクを評価する「風洞実験」について解説します。
建築に興味がある方や高層ビルの設計に興味がある方は、ぜひ最後までチェックしてみてください!
高層ビルの影響で周辺に起こるリスク
「高層ビルの影響で実際に何が起こるの?」と気になる方もいるかもしれません。
高層ビルによる風の影響で、以下のような問題が発生しています。
- 頭髪や衣服の乱れ
- 瓦や洗濯物の飛散
- 歩行者・バイク・自転車などの転倒
おしゃれに気を使う方にとって、頭髪や衣服が乱れるのは死活問題。
実際に、高層建築物周辺の美容院が閉店になったことも。
また、瓦のような重いものが飛散すると重大な事故につながります。
傘や洗濯物が車のフロントガラスにぶつかれば、運転手の視界を妨げて交通事故を起こす危険性も高まります。
このような高層ビル周辺の危険性を減らすために、風の影響を調べる「風洞実験」が行われています。
【参考】
日本風工学会|日本風工学会誌 第 40 巻第 1 号(通号第 142 号)平成 27 年 1 月 強風による規制と対策「ビル風と規制」
風洞実験の概要
風洞実験は、人工的に作った高層ビルの模型にさまざまな条件で風を当て、周辺への影響を調べる実験です。
風洞実験は、主に以下の流れで実施します。
- 建築物をCAD上でシミュレーションする
- CADデータに基づいて模型を作成する
- 複数の条件で風を当てデータを取る
風の向き・実験する機関・ビル周辺の建物の有無など、さまざまな条件で何ヶ月もかけて実験を行い、風の影響を予測します。
風洞実験には数百万円の予算がかかりますが、ビルの開発を成功させるためには欠かせない調査です。
【参考】
国土交通省|平成27-28年度 建築基準整備促進事業S18.風圧力、耐風設計等の基準への数値流体計算の導入に関する検討(新規)「実建築物を対象とした風洞試験及び大規模計算による数値流体計算」
風洞実験の事例
都市の開発計画に活用されている風洞実験。
ここでは、風洞実験の実例を紹介します。
東京駅八重洲口の周辺では、風洞実験によるデータを活かして都市開発を進め、風通しの改善に成功しました。
風通しを改善することで気温の低下が期待できるため、夏の熱中症の防止にもつながります。
強風による被害を抑えるだけでなく、風の通り道を作ることができるのも風洞実験の利点です。
【参考】
まとめ
今回は、高層ビルの設計で重要とされている風洞実験について解説しました。
風洞実験の概要やビル風の事例を解説したので、理解が深まったのではないでしょうか?
高層ビルを建てる際は、風が周辺に与える影響を考慮しなければなりません。
風洞実験は、ビル風の影響を調べる重要な方法といえます。
風洞実験で得たデータは、ビル風の悪影響を抑え周辺環境を改善することにも役立ちます。
安全な高層ビルを建築するためには、風洞実験の重要性と風が起こすリスクについて理解することが重要です。
高層ビルの設計に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね!